2017 Best Album
僕の2017年の音楽の聴き方はほとんどがApple Music中心。その中でアルバムという概念にどれだけの意味があるか…。
そもそも音楽を聴く時間は通勤時間往復40分くらい。腰を据えてアルバム一枚を聴く、という行為から離れて久しい。
しかも今年はDJの出番もかなり少なかったのでダンスミュージックをBeatportで掘る、ということもあまりしなかった。
去年は30枚くらい余裕でベストアルバム候補に挙げれた気がするが、今年は20枚も無いと思う。それは個人的な理由だけでなくアルバムとして挙げるべきものが減ったような気がしている。
代わりにアルバムという概念ではなくDrake “MORE LIFE” やサニーデイ・サービス “Popcorn Ballads”という優れた作品があった年だったと思う。
そんな中で久しぶりにアルバムを聴くのがワクワクする、そして聴いてもワクワクさせられる、という体験をしたのがPUNPEE待ちに待った初のアルバム “Modern Times” だったと思う。まずアルバム冒頭で未来のPUNPEEジジイが語り始める、という辺りで七尾旅人“911FANTASIA” を彷彿とさせ既に名盤の匂いがプンプンする訳です。その後もタイムマシーンに乗ったり宇宙に行ったりと時空を自由自在に操るこのアルバムが時空を超えて旅をするレコードになることは当然の帰結なのだ。
日本のヒップホップという枠で言えば僕は3枚も選んでることになる。選んだ他にもC.O.S.A “Girl Queen” もとてもカッコ良かった。
Awich “8”は全然知らなかったけど渡辺志保さんがタマフルでオススメしてて知ったんだっけか。一聴するも全然日本人だとは思えない。沖縄出身で、サウス・ヒップホップの中心地アトランタへ渡米し、結婚し娘が生まれるもプッシャーだった夫が射殺されてしまう、というものすごい過去を持つ彼女が帰国して作ったのがこのものすごいアルバムとなれば、なるほど。
ゆるふわギャング “Mars Ice House” はしかしTrapという体裁をとるhip-hopなのかもしれないが、その蕩けるようなサイケデリアの方に惹かれた。そして元ネタがスーパーカーだったりMGMTだったりとルーツが自分がよく聴いていたゼロ年代のロックに近いことも個人的にハマった要因だと思う。
そして今年は邦楽ロックは1枚も選んでおりません。。がシャムキャッツ “Friends Again”は次点です!とても良かった!
ここ数年、USヒップホップがポップミュージックのメインストリームとなり、それに呼応するかのようにUKもグライムが席巻する状況でロックはすっかり元気がなくなっていました。しかし、今年はUKインディ・ロック復権の年だったと思います。
まずは
The XX “I See You”
Formation “Look at the Powerful People”
The Big Moon “Love in the 4th Dimension”
どれも選ばなかったけどすごい良かったです。そして次点に選んだのがエセックス出身の
RAT BOY “SCUM”
The XXは当然ながら、新しいアーティストがどんどん出てくるのがいまのUKの勢いを現してますが、そんな勢いの中心にいるのがインディペンデント・レーベル「Dirty Hit」でしょう。そしてThe 1975を擁するこのレーベルがリリースしたのが
Wolf Alice “Visions of a Life”
このアルバムは単純にインディ・ロックとしては括れない様々なカラーをもった楽曲が集まっている。RAT BOY “SCUM”もそうですが、色んなジャンルやカルチャーを横断的に取り入れてクロス・オーヴァーさせていくのがUKのミュージックの良き伝統だと思っていて、このような流れは来年以降も続いて欲しいとの願いもありこの2枚を選びました。
相変わらず良さげな音楽を見つける方法として僕は相変わらずTwitterを1番使っています。「この人は信頼できる」という人が何人かいて、その人のリコメンドはすかさずメモ代わりにいいね!している。
Blue Hawaii “Tenderness” は、くらーくさんがオススメしていて知った。「Björk meets the xx and DJ Koze」というもう聴くしかないでしょというキャッチコピーも伊達じゃない出来でした。
年末ベストの時期になってTwitterで色んなランキングを見て良さげなのをチェックしてすごく良かったのが
Kelly Lee Owens “KELLY LEE OWENS”
これが今の気分では今年のエレクトロニックアルバムNo.1です。Pitchforkが〈ドリーム・ポップとストイックなテクノの融合〉と評する通りで、もう大好物です。
もう一つ、年末に聴いていいなーと思ったのが
Moses Sumney “Aromanticism”
LAのSSWである彼の音楽は静謐なソウルという感じで僕はFrank Oceanを連想しました。
Doomedという曲が本当に素晴らしい。あとはRHYEっぽいなと思いました。RHYEは来年出る新譜が楽しみですね!
暗い感じとか悲しい感じの方が集中して音楽が聴けるのかなと思ったりもする。だからアルバムとしてあげていく時に印象が残りやすいのかもしれない。
Lana Del Rey “Lust for Life”
もそういう印象が強い。アルバム最後の“Get Free” がレディオヘッド“クリープ”を彷彿とさせるコード進行で盛り上がる名曲でした。
LA拠点に活動する彼女ですがLAのフィメール・アーティストといえば僕も大好きなHaimも今年新譜 “Something to Tell You”をドロップしました。
高橋芳朗さんの先日の記事も面白かったです。
最後に、今の日本の新しいポップミュージックのキーマンであり続ける男だと僕が思っている
tofubeats “FANTASY CLUB”
このアルバムを選ばずして!批評的な目線が常にある音楽はとても面白いよね!
来年も素晴らしい音楽との出会いが続きますように!